思索記

ものを考える。詩。

幸せ

「あかん。泣きそうなくらい幸せや。涙出てくるわ。」

「ーーーなにが?」

「君にはわからんかもしれんけどね、晴れとるやろ?ほんで、街路樹の葉が揺れてる。風が吹いたら寒いし、今、道路を歩いてる。それがわかる。わかるってことが、嬉しくて、苦しいくらい幸せなんや。」

「戦争行ってたみたいなこと言うなや、気持ち悪い。」

「戦争したことがないのんね、君は。君みたいな連中を、心底恨めしく、羨ましく思っていたけど、俺はこれでよかったんだな。死ななくてよかった、死ななくてよかったよ本当に。」